ランパセラピーに基づいた顎顔面口腔育成治療

永久歯の良い咬み合せができるよう、気道の確保と顔面骨格の成長を促す前方成長治療です。
骨格矯正、リップシールド(口唇閉鎖)の治療とも言えるものです。

従来の歯科矯正治療とは別の考え方と治療法で、口呼吸を鼻呼吸に変え、子どもの口の健全な発育を目指します
顎顔面口腔育成研究会サイト

顎顔面口腔育成治療

顎顔面口腔育成治療は、イギリスのDr. J. Mewによって提唱された中顔面の前方成長を促すオーソトロピクス(自然成長誘導法)の概念によるバイオブロック療法を元にしています。
三谷寧先生が日本人のために、回転と歪の概念を加えて改良しました。バイオブロック装置に加え、RAMPA(ランパ)装置を使用します。
生理的な中顔面の成長を促し、気道の生理性を高めることを可能にする治療法です。

自然成長誘導法の考え方は、「不正咬合は下方成長である」です。

反対咬合(受け口)も、上顎前突(出っ歯)、過蓋咬合・ガミースマイル、開咬、交叉咬合、叢生。実は原因は全て同じで、上顎の前方成長不足です。

歯列不正は、顎顔面の成長過程の問題が、
見えやすい形で現れたものかもしれません。

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清水正裕先生 総説:バイオブロックによる矯正治療 より

※イメージ図 実際にこの図の通りに歪むということではありません

前方成長と下方成長

上顎骨を含む顔面骨格は、本来は前方にも下方にも等しく発育します。

前方成長イメージ

ところが、下方成長パターンでは、成長量の多くが下方向への成長となっています。
その下方成長した上顎骨に咬み合う下顎も形態に歪みを生じているのです。

下方成長イメージ

下方成長では、歯列の幅が狭く、前後径が短くなります。
その結果、歯の生えるスペースが不足します。
前への成長が足りないので、叢生(乱杭歯・デコボコの歯並び)では前歯や犬歯が重なっていている場合が多いです。

前歯の叢生

前方成長不足の影響

前方成長不足の影響は、歯並びだけではありません。

上顎骨が下方のため舌の位置が本来の生理的に正しい位置から下がってしまいます。
喉の舌骨(舌の根本の骨)の位置も下がります。
舌骨につながる口腔や咽頭の筋も影響を受け下がるので、下に引っぱられ気道が細く狭くなります。
気道を確保するため口呼吸になったり、
顎を引いた姿勢が取れず、いつも首が前傾して姿勢が悪くなります。

気道が狭い小児のレントゲン

鼻疾患(上咽頭閉塞疾患)にも関わりがあります。

悪習癖、態癖、舌癖、など

近年、口呼吸、低位舌や舌の突き出し、悪い姿勢等の、癖(悪習癖)によって歯並び・かみ合わせが悪くなるという考えが普及してきました。

そこに因果関係があるのは事実だと思います。
しかし、そのような悪い癖をしてしまう、良い姿勢を長時間維持するのは苦しい、という体の状態はどうなのでしょう?
その子の場合はどちらが原因で結果なのか、よく観察して考える必要があるかと思います。

これらの状態・症状を改善できるのがRAMPAセラピーに基づいた顎顔面口腔育成治療(RAMPA治療、前方成長治療)です。

治療による気道の変化

気道の変化
先ほどのレントゲンの小児のRAMPA治療での気道の変化。(まだ治療途中です)

従来の小児矯正、矯正治療との違い

従来の小児矯正、矯正治療のやり方でも、
側方拡大を行うことで鼻呼吸ができるようになったり、
下方成長のままでも、歯並びを整えることはできます。

ただ、歯並びよりもっと生命維持にかかわる上位のところに問題があるかもしれません。
それをそのままにして口だけ治しても、体にとって楽ではないかもしれない、体にがまんさせているかもしれない、体が楽な方を求めて後戻りにつながるかもしれない、という可能性があります。

前方成長は前へ前へ歯を誘導します。口の後ろにあるのど(咽頭)を広くするためです。
それによって、舌が前に出れるようにして、本来の生理的に正しい機能を発揮できる口腔の形を作ります。
矯正治療は、奥歯が前に来ないよう抑えたり、口元の突出感を改善するため歯を後ろに引いたりします。

舌突出癖(タングスラスト)に対しても、
矯正治療では舌を出さないように装置や筋機能療法で訓練します。
前方成長では、出てきた舌の位置のほうが生理的に正しいとして、
歯の間にすき間が出来ても舌が歯列の内側になるように歯列の形態を作ります。
そのすき間は、歯を前に誘導して閉じていきます。

従来の矯正治療とは考え方が逆になるので、やることも反対になります。
今から成長期を迎える場合、永久歯抜歯(切歯・小臼歯)は通常必要ありません。

顔貌について

前方成長と下方成長した姉妹のスナップ
姉妹のスナップ
左の女児は下方成長、右の女児は前方成長しています。

前方成長不足の診断

下方成長でも、気道の広さがあり、呼吸に関する自覚症状もない人もいます。個人差があります。

そして、治療する前の評価も、基準となるものがないので数値で表現するのは難しいです。

レントゲンでの気道の状態、舌骨の位置、骨の歪みと、顔の写真、口の状態などから前方成長が不足している、ということは診断できます。

ですが、前方成長出来ている子の数値と比べようにも、矯正セファロで基準点と言われていた部位(S点、N点)も変化して動きます。

前方成長の臨床では、個人の治療の前後を比較して、気道が広がった、舌骨の位置が上がった、骨の歪みがとれた、など見ることで、
振り返って下方成長の影響があった、とみます。

治療に適した時期

成長方向を変えて、前方成長させる治療のため、基本的には、子供のうちしかできない治療です。
幼稚園年中から小学校2年生ぐらいまでが開始適齢期ですが
10代の成長期まではこの方法で治療可能です。
積極的に治療する期間は3から6年ぐらい、その後、成長が完了するまで経過観察を行います。

RAMPAセラピーは、骨格矯正、リップシールド(口唇閉鎖)の治療です。
充分前方成長できれば、歯並びはおおむね自然に整います。
より細かく整えることをご希望の場合は永久歯列で従来の歯列矯正を行います。

前方成長治療:RAMPA装置での治療もご覧ください。

治療費につきましては、矯正治療費ページをご覧ください。

2016年 11月改定。内容は随時改定いたします。

カテゴリ:前方成長治療

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